遺留分(法律で守られた最低限の取り分)が兄弟にあるかどうかは、誰の相続を考えているかによって答えが変わります。亡くなった人の兄弟姉妹には認められず、親の相続では子ども同士それぞれに認められるためです。
- 兄弟に遺留分があるのかどうか、結論が分からない
- 自分の財産が兄弟に渡るケースと、その割合を知りたい
- 親の相続で取り分が少なかったとき、何をすればよいか判断できるようになりたい
大切なのは、ご自身がどちらの立場に当てはまるかを最初に確かめることです。立場が分かっていれば、遺言の準備や家族との話し合いを落ち着いて進められます。反対に、立場を勘違いしたままだと、せっかくの準備が的外れになるおそれもあります。
当メディアの調査では、親と相続について「話したことはまったくない」と答えた方が約37.7%でした。「話題に出たことはあるが、深く話していない」の約28.0%を合わせると、約65.7%が踏み込んだ話をできていない実態がうかがえます。
(当メディア調査/2026年5月・親がご存命の人300名)
相続の話を切り出せていないのは、決して珍しいことではないようです。
読み終えるころには、ご自身の立場で遺留分があるかどうか、そして何を準備すればよいかが見えてきます。なお、制度に関する記述は2026年10月時点の情報にもとづいています。
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当メディア『タクソウ(託す相続)』は、PR media株式会社(東京都渋谷区/2018年設立)が運営しています。代表取締役の藤森 何意は、相続の総合的な知識を持つ「相続診断士」の資格を保有。PR mediaは保険代理事業を展開するとともに、不動産の売買・賃貸管理を手がける企業グループに属し、相続対策と関わりの深い不動産・保険分野の実務知見を有しています。
当サイトの記事は、国税庁:相続税・贈与税に関する情報、国税庁:統計情報(相続税の申告事績等)、裁判所:司法統計、法務省 等の公的データと、グループでの不動産・保険業務における実務経験に基づいて作成しています。個別の税務・法律のご判断については、税理士・司法書士等の専門家へのご相談をおすすめしています。
兄弟に遺留分はある?立場によって答えが変わる

遺留分とは、一定の相続人に法律で保障された最低限の取り分のことです。認められるのは配偶者・子ども(孫)・親(祖父母)で、兄弟姉妹は含まれません。ただし「兄弟」が指す立場は2つあり、どちらにあたるかで結論が入れ替わります。
2つの立場を表で比べてみましょう。
| 立場 | 誰の相続か | 遺留分 |
|---|---|---|
| ①亡くなった人の兄弟姉妹 | 兄・姉・弟・妹の相続 | なし |
| ①の代わりに相続する甥・姪 | 叔父・叔母の相続 | なし |
| ②親が亡くなったときの子ども同士 | 父・母の相続 | あり(法定相続分の2分の1) |
※2026年10月時点の情報です。
同じ「兄弟」でも、対象が兄弟本人の財産なのか、親の財産なのかで結論は正反対になります。ご自身がどちらの場面を想定しているのかを、読み進める前に確かめておきましょう。
亡くなった人の兄弟姉妹には遺留分がない
ここでは、兄や姉など兄弟本人の相続が発生した場面(立場①)を扱います。この立場の兄弟姉妹には、民法上の遺留分が認められていません。押さえておきたい点は次の3つです。
- 遺言で財産を1円も残されなくても、遺留分侵害額請求(不足分を金銭で求める手続き)はできない
- 兄弟姉妹が先に亡くなり、甥・姪が代わりに相続人となる場合(代襲相続)も遺留分はない
- 遺言がなければ、法定相続分(法律で定められた分け方の目安)に沿って相続する立場は残る
遺言で行き先が決められていれば、兄弟姉妹はその内容を受け入れる形です。一方、遺言がない場合は、相続人として分け方の話し合いに加わります。
「遺留分がない」と「何も受け取れない」は同じ意味ではない点を、分けて理解しておきましょう。
参考:e-Gov法令検索「民法(第889条・第1042条)」
参考:裁判所「遺留分侵害額の請求調停」
親の相続では兄弟それぞれに遺留分がある
次は、父や母の相続が発生し、子ども同士で財産を分ける場面(立場②)です。親から見ると兄弟は全員「子ども」にあたるため、それぞれに遺留分があります。ご自身がこの立場かどうかは、次の2点で確かめられます。
- 相続の対象になっているのは、親の財産か
- 自分は亡くなった人から見て「子ども」にあたるか
どちらも当てはまる方は、遺言や生前贈与で取り分が大きく偏ったときに、最低限の金額を請求できる立場です。目安は法定相続分の2分の1で、具体的な割合や期限は後半の章で整理します。
参考:e-Gov法令検索「民法(第889条・第1042条)」
「兄弟には遺留分がない」という説明だけを読んで、親の相続でも請求できないと思い込んでしまう人がいます。しかし、これは誤解です。遺留分がないのは、亡くなった人の兄弟姉妹として相続する場合に限られます。
親の相続では、兄弟であっても「子ども」の立場になるため、遺留分を請求できます。解説のなかには、立場①だけを前提に書かれているものもあるため注意が必要です。
亡くなった人の兄弟姉妹に遺留分がない理由

ここから3つの章は、兄弟本人の相続が発生した場面(立場①)の話です。遺留分を定めた民法第1042条は、対象を「兄弟姉妹以外の相続人」としています。兄弟姉妹が外れている背景として、一般に次の3つが挙げられます。
亡くなった人との関係が遠いから
相続人になる順番は法律で決まっており、兄弟姉妹はもっとも後ろに位置します。順位と遺留分の有無を並べると、次のとおりです。
| 立場 | 相続の順位 | 遺留分 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 常に相続人 | あり |
| 子ども(孫) | 第1順位 | あり |
| 親(祖父母) | 第2順位 | あり |
| 兄弟姉妹 | 第3順位 | なし |
亡くなった人と直接つながっているのは、配偶者・子ども・親です。一方、兄弟姉妹が相続人になるのは、子どもも親もいない場合に限られます。兄弟姉妹は一歩離れた立場です。
最低限の取り分(遺留分)が保障されるかどうかは、この関係の近さの違いで分かれています。
参考:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
参考:e-Gov法令検索「民法(第889条・第1042条)」
生活を支えてもらう立場ではないから
遺留分は、残された家族の暮らしを守るための制度です。ねらいは次の2点に整理できます。
- 配偶者や子どもなど、亡くなった人の財産で生活してきた家族の暮らしを守る
- 遺言や生前贈与で財産が偏っても、近い家族に一定の取り分を残す
一方、兄弟姉妹はそれぞれ独立して生計を立てているのが一般的です。亡くなった人の財産がないと生活に困る、という関係は考えにくいため、保障の対象から外されています。
兄弟姉妹に財産を残したいなら、遺言で意思を示しておくことが必要です。
参考:裁判所「遺留分侵害額の請求調停」
参考:e-Gov法令検索「民法(第1042条)」
甥・姪への代襲相続が認められているから
代襲相続とは、本来の相続人が先に亡くなっている場合に、その子どもが代わりに相続する仕組みです。どこまで引き継がれるかは、本来の相続人が子どもか兄弟姉妹かで変わります。
| 本来の相続人 | 代わりに相続する人 | どこまで続くか |
|---|---|---|
| 子ども | 孫 | 孫も亡くなっていれば、ひ孫へ続く |
| 兄弟姉妹 | 甥・姪 | 甥・姪の1代限り |
もし兄弟姉妹に遺留分を認めると、代襲相続によって甥・姪も同じ権利を持つことになります。関係の遠い親族にまで最低限の取り分が広がれば、遺言で財産の行き先を自由に決めにくくなりかねません。
こうした事態を防ぐことも、兄弟姉妹に遺留分がない理由の1つです。
参考:e-Gov法令検索「民法(第887条・第889条)」
ここまで紹介した3つの理由は、条文に書かれているわけではありません。制度の趣旨として、一般にそう説明されているものです。一方、兄弟姉妹に遺留分がないこと自体は、民法第1042条から確認できます。
理由に納得しにくくても、結論は変わりません。この点を押さえておけば、混乱せずに済みます。
兄弟姉妹が相続人になるケース

兄弟姉妹が相続人になるのは、亡くなった人に子ども(孫)も親(祖父母)もいない場合です。子どもや親が全員相続放棄した場合も、同じ扱いです。
遺言がないときは、法定相続分が分け方の目安になります。法定相続分とは、法律で決められた取り分の割合のことです。相続人の組み合わせごとの割合を、下の表にまとめました。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者 | 兄弟姉妹 |
|---|---|---|
| 配偶者と兄弟姉妹 | 4分の3 | 4分の1(複数いるときは全員の合計) |
| 兄弟姉妹のみ | − | 全部を人数で均等に分ける |
| 父母の一方だけが同じ兄弟姉妹がいる場合 | − | 父母の一方だけが同じ兄弟姉妹は、両方が同じ兄弟姉妹の2分の1 |
※2026年10月時点の情報です。
法定相続分は、遺留分と違って最低限の保障ではありません。遺言があれば、その内容が優先されます。
つまり兄弟姉妹は、「目安の割合はあるが、最低保障はない」立場です。
子どもも親もいない夫婦の場合
子どものいない夫婦では、配偶者がすべてを相続すると思われがちです。実際には、亡くなった人の親がすでにいなければ、兄弟姉妹も相続人に加わります。遺言の有無による違いを整理しました。
- 遺言がない場合:配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1が目安となり、分け方は全員で話し合う
- 「配偶者にすべて残す」という遺言がある場合:兄弟姉妹に遺留分がないため、遺言どおりに引き継がれる
遺言がないと、残された配偶者は義理の兄弟姉妹と分け方を話し合うことになります。自宅が財産の中心だと、4分の1にあたる金額を現金で用意しにくい場面も考えられます。
配偶者に確実に残したい場合は、元気なうちに遺言を検討しておくと安心です。
参考:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
参考:e-Gov法令検索「民法(第890条・第900条)」
独身で子どもも親もいない場合
配偶者も子どもも親もいない人が亡くなった場合、相続人は兄弟姉妹だけです。財産は人数で均等に分けるのが基本ですが、亡くなった人と父母の一方だけが同じ兄弟姉妹がいると、割合が変わります。
父母の両方が同じ兄弟が2人、一方だけが同じ兄弟が1人いる例を見てみましょう。
| 相続人 | 相続分 |
|---|---|
| 父母の両方が同じ兄弟A | 5分の2 |
| 父母の両方が同じ兄弟B | 5分の2 |
| 父母の一方だけが同じ兄弟C | 5分の1 |
父母の一方だけが同じ兄弟姉妹の相続分は、両方が同じ兄弟姉妹の半分です。そのため、この例では2対2対1の比率で分けることになります。
親の再婚などで兄弟関係が複雑だと、誰が相続人になるのかを思い違いしていることもあるでしょう。あらかじめ戸籍で相続人を確かめておけば、話し合いをスムーズに進めやすくなります。
参考:e-Gov法令検索「民法(第889条・第900条)」
参考:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
子どもや親が相続放棄した場合
相続放棄とは、財産も借金も一切引き継がないと家庭裁判所に申し出る手続きです。放棄した人は初めから相続人でなかった扱いになるため、相続の順位が次へ移ります。兄弟姉妹に回ってくるまでの流れは、次のとおりです。
- 第1順位の子ども全員が相続放棄をする
- 第2順位の親(祖父母)も放棄する、またはすでにいない
- 第3順位の兄弟姉妹が相続人になる
子どもが放棄しても、その子ども(孫)が代わりに相続人になるわけではありません。順位は親、兄弟姉妹へとそのまま移っていきます。
借金が理由で放棄された場合は兄弟姉妹にも影響するため、連絡を受けたら早めに専門家へ相談するのがおすすめです。
参考:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
参考:e-Gov法令検索「民法(第887条・第939条)」
子どものいないご夫婦で見落とされやすいのが、亡くなった方の親が健在なケースです。この場合、相続人になるのは配偶者と親で、兄弟姉妹は相続人になりません。注意したいのは、親には遺留分がある点です。
例えば「全財産を配偶者に」という遺言を残しても、親から遺留分を請求される可能性があります。兄弟姉妹が相手のときとは、遺言の考え方が変わります。親が健在かどうかを、まず確かめておくと安心です。
遺留分がない兄弟姉妹でも財産を受け取れるケース

遺言で財産を残されなかった兄弟姉妹の視点から整理します。遺留分がなくても、仕組みのうえで財産を受け取る可能性がある場面は3つあります。
遺言書に兄弟姉妹へ残すと書かれている場合
遺言に「弟へ預金を残す」などと書かれていれば、兄弟姉妹はその財産を受け取れます。遺言によって財産を渡すことを遺贈といい、遺留分とは別の仕組みです。両者の違いを表で確認しましょう。
| 項目 | 遺留分 | 遺贈 |
|---|---|---|
| 意味 | 法律が保障する最低限の取り分 | 遺言によって財産を渡すこと |
| 決める人 | 法律 | 遺言を書く本人 |
| 兄弟姉妹の場合 | 認められない | 遺言に書かれていれば受け取れる |
遺留分がないというのは、「法的に請求する権利がない」という意味にすぎません。本人が兄弟姉妹に残したいと考えて遺言に書けば、その意思が尊重されます。
お世話になった兄弟姉妹に財産を渡したい方は、遺言で明記しておくことが大切です。
参考:e-Gov法令検索「民法(第964条)」
相続人全員の合意で遺言と異なる分け方をする場合
遺言があっても、別の分け方を選べる場合があります。条件は、相続人全員が納得することです。遺言で相続人以外の人に財産が渡るときは、その人の同意も欠かせません。あわせて、次の3点にも注意しましょう。
- 相続人のうち1人でも反対すれば、遺言と異なる分け方は成立しない
- 遺言執行者(遺言の内容を実現する役割の人)が指定されているときは、その人の同意が必要になる
- 遺言で遺産の分割が一定期間(最長5年)禁止されているときは、その間は分けられない
この方法が成り立つのは、遺言で財産を受け取る人が、自分から譲ると決めた場合だけです。兄弟姉妹の側から話し合いを持ちかけることはできますが、相手が応じなければ実現しません。
一方的に求めて分けてもらえる仕組みではない点を、理解しておきましょう。判断に迷うときは、弁護士に確認すると安心です。
参考:e-Gov法令検索「民法(第907条・第908条・第1012条・第1013条)」
遺言書が無効と認められた場合
遺言が無効と認められ、ほかに有効な遺言もなければ、遺言はなかったものとして扱われます。この場合は、法定相続分をもとに相続人全員で分け方を話し合う流れです。
そのため、相続人にあたる兄弟姉妹は、財産を受け取れる可能性が出てきます。問題になりやすいのは、次のような例でしょう。
- 自筆の遺言で、全文・日付・氏名の自書や押印が欠けている(財産目録は自書でなくてもよい)
- 遺言を作成した時点で、内容を理解して判断する力が十分でなかった疑いがある
ただし、無効かどうかは、形式や当時の状況を踏まえて慎重に判断されます。見た目の印象や家族の感覚だけで決まるものではありません。当事者の意見が分かれれば、最終的には裁判所が判断することになるでしょう。
疑問を感じたときは自分たちだけで結論を出そうとせず、弁護士に相談してください。
参考:e-Gov法令検索「民法(第960条・第963条・第968条)」
遺言の内容に納得できないと、つい感情的になってしまうものです。しかし、強い言葉のやり取りが続けば、家族の関係がこじれてしまいかねません。
押さえておきたいのは、遺言を書いた本人の意思がもっとも尊重される、という原則です。
そのうえで気になる点があれば、当事者同士でぶつけ合うのではなく、専門家を通じて確認しましょう。第三者が間に入ることで、落ち着いて話を進めやすくなります。
親の相続で兄弟同士が請求できる遺留分

遺言や生前贈与で兄弟の1人に財産が偏ったとき、ほかの兄弟は最低限の取り分を金銭で請求できます。割合の目安を表にまとめました。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者(親の一方)の遺留分 | 子ども1人あたりの遺留分 |
|---|---|---|
| 子ども2人のみ | − | 4分の1 |
| 子ども3人のみ | − | 6分の1 |
| 配偶者と子ども2人 | 4分の1 | 8分の1 |
| 配偶者と子ども3人 | 4分の1 | 12分の1 |
※2026年10月時点の情報です。
表の割合は、遺留分を計算するもとになる財産全体に対するものです。兄弟の人数が増えるほど1人あたりは小さくなり、親の一方が健在かどうかでも変わります。
個別の金額の計算や請求の判断は、弁護士や税理士に確認してください。
兄弟それぞれの遺留分は法定相続分の2分の1
子どもが相続人のとき、遺留分は全体で財産の2分の1と決められています。1人あたりの割合は、次の2段階で求めます。
- 遺留分全体を出す(財産の2分の1)
- 1に各自の法定相続分を掛ける(子ども2人のみなら2分の1ずつ)
例えば相続人が子ども2人だけなら、2分の1×2分の1で1人あたり4分の1です。一般的な例として、もとになる財産が4,000万円の場合は1,000万円が目安です。
実際には不動産の評価や過去の贈与で金額が変わるため、考え方の確認としてご覧ください。
参考:e-Gov法令検索「民法(第900条・第1042条)」
遺留分は生前贈与や遺贈も含めて計算する
遺留分のもとになる財産は、相続時に残っていた財産だけではありません。一定の生前贈与を加え、借金などの債務を差し引いて計算します。加える贈与の範囲を、相手ごとに整理しました。
| 贈与を受けた人 | 対象になる期間 | 補足 |
|---|---|---|
| 相続人(兄弟など) | 相続開始前10年以内 | 結婚や養子縁組のため、または生計の元手として受けた贈与に限る |
| 相続人以外 | 相続開始前1年以内 | − |
| 共通の例外 | 上記の期間より前でも対象 | 遺留分を持つ人に損害が出ると双方が知っていた贈与 |
※2026年10月時点の情報です。
親が兄弟の1人に住宅資金などを贈っていた場合、10年以内であれば計算に含まれる可能性があります。相続時の財産が少なく見えるケースでも、過去の贈与を足すと遺留分が生じる場合がある点に注意が必要です。
遺言で特定の人に渡される財産(遺贈)も、相続時の財産として計算に入ります。どの贈与が対象になるかは判断が分かれやすいため、弁護士への確認が欠かせません。
参考:e-Gov法令検索「民法(第1043条・第1044条)」
参考:法務省「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)」
亡くなった兄弟の子どもが代わりに遺留分を持つ
兄弟の1人が親より先に亡くなっている場合は、その子ども(親から見て孫)が代わりに相続人になります。このとき、孫は遺留分も引き継ぐ点がポイントです。冒頭で触れた甥・姪の話と似ていますが、場面は異なります。2つを並べて確認しましょう。
| 場面 | 代わりに相続する人 | 遺留分 |
|---|---|---|
| 祖父母の相続で、亡くなった子どもの代わりに相続する | 孫 | あり |
| 叔父・叔母の相続で、亡くなった兄弟姉妹の代わりに相続する | 甥・姪 | なし |
同じ人でも、誰の相続かによって立場は変わるものです。祖父母の相続では「子どもの代わり」なので、遺留分を持ちます。一方、叔父・叔母の相続では「兄弟姉妹の代わり」にあたるため、遺留分はありません。
兄弟が先に亡くなっているご家庭では、その子どもも話し合いの当事者になる点を覚えておきましょう。
参考:e-Gov法令検索「民法(第887条・第901条・第1042条)」
遺留分侵害額請求は知ってから1年以内に行う
遺留分侵害額請求には期限があり、過ぎると請求できなくなります。期限は2種類です。
| 期限 | いつから数えるか |
|---|---|
| 1年 | 相続の開始と、遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から |
| 10年 | 相続開始の時から |
※2026年10月時点の情報です。
特に注意したいのは知った時から1年という期限です。請求は不足分に相当する金銭の支払いを求める仕組みで、一般的には次の流れで進みます。
- 相手に対して、遺留分を請求する意思を伝える
- 金額や支払い方法を当事者同士で話し合う
- まとまらなければ、家庭裁判所の調停(裁判所を交えた話し合いの手続き)を利用する
裁判所の案内によると、調停を申し立てただけでは相手への意思表示になりません。期限内に、内容証明郵便(送った内容と日付を郵便局が証明する郵便)などで意思を伝えておく必要があります。
請求するかどうかの判断や交渉の進め方は、弁護士に相談してください。
参考:裁判所「遺留分侵害額の請求調停」
参考:e-Gov法令検索「民法(第1046条・第1048条)」

期限の起点となる「知った時」がいつなのかは、後から争いになりやすい部分です。
そのため、遺言の内容を知った日付や、相手とのやり取りは記録に残しておきましょう。メモやメール、郵便の控えなどがあれば、専門家に相談するときの材料になります。
一方、請求を受けた側も慌てる必要はありません。期限を過ぎていないか、金額の根拠は何かを、落ち着いて確かめることが大切です。
兄弟との相続トラブルを防ぐための生前の備え

この章では、子どものいない夫婦と親の相続を控えた兄弟の両方に向けて、元気なうちにできる備えを紹介します。財産の中心が実家の場合は分け方が難しくなりやすいため、早めに準備しておきたいところです。
公正証書遺言で財産の行き先を決めておく
遺言は、立場によって気をつける点が変わります。2つの立場に分けて整理しました。
- 子どものいない夫婦:親がすでに亡くなっていれば、兄弟姉妹に遺留分がないため、遺言で配偶者に全財産を残せる
- 親の立場で作る場合:子どもそれぞれの遺留分に配慮した内容にしておく
子どものいない夫婦にとって、遺言は配偶者の暮らしを守る有効な手段です。ただし、亡くなった人の親が健在な場合は、親に遺留分がある点に注意しましょう。
親の立場では、子どもそれぞれの遺留分を下回らない配分にしておくと、兄弟間の請求が起きにくくなります。遺言の主な形式は2種類あり、違いは下の表のとおりです。
| 項目 | 公正証書遺言 | 自筆証書遺言 |
|---|---|---|
| 作り方 | 公証人(公的な文書を作る専門職)が内容を聞き取り、公正証書にまとめる | 本人が自分で書く |
| 保管 | 原本を公証役場で保管する | 自宅で保管、または法務局に預ける |
| 無効・紛失のリスク | 無効になりにくく、紛失や改ざんのおそれがない | 内容の不備で無効になる可能性があり、自宅保管は紛失のおそれがある |
| 費用 | 財産の価格に応じた手数料がかかる | 作成費用はかからない(法務局に預ける場合は手数料3,900円) |
※2026年10月時点の情報です。
確実さを重視するなら、公正証書遺言が向いています。自筆証書遺言を選ぶ場合は、法務局に預けると紛失のおそれがなくなります。
ただし、法務局が確認するのは日付や署名などの形式だけです。どちらの場合も、作成の相談は弁護士や司法書士へ、税金に関わる判断は税理士へ依頼してください。
参考:神戸地方法務局「遺言書に関する資料」
参考:e-Gov法令検索「民法(第967条・第968条・第969条・第1042条)」
実家など分けにくい財産の分け方を話し合っておく
実家は現金のように等分できないため、兄弟で分け方を決めにくい財産です。主な方法は3つあり、それぞれ特徴が異なります。
| 分け方 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 現物分割 | 実家は兄、預金は弟のように財産そのものを分ける | 財産ごとに価値が異なり、等分にしにくい |
| 代償分割 | 実家を引き継ぐ人が、ほかの兄弟に金銭を支払う | 支払う側にまとまった現金が要る |
| 換価分割 | 実家を売却し、代金を兄弟で分ける | 実家を手放すことになる |
どの方法が合うかは、実家の価値と、住み続けたい人がいるかどうかで変わります。当メディアの調査では、実家の今後について親や家族と「話したことはない」と答えた方が約52.0%でした。
実家の資産価値も「まったく知らない」が約53.7%、「ほとんど知らない」が約24.0%という結果です。
(当メディア調査/2026年6月・親が持ち家の人300名)
価値が分からないままでは代償金(ほかの兄弟に支払うお金)の目安も立てにくいため、親が元気なうちに話題にしておくことが備えになります。
参考:山形家庭裁判所「家庭裁判所における遺産分割調停手続Q&A」
参考:国税庁「No.4173 代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算」

生命保険で代償金の資金を準備しておく
代償分割では、実家を引き継ぐ人がまとまった現金を用意する必要があります。その資金を準備する方法の1つが生命保険です。押さえておきたい点を3つ挙げます。
- 死亡保険金は受取人自身の財産とされ、原則として遺留分の計算に含まれない
- 実家を引き継ぐ予定の人を受取人にしておくと、代償金にあてる資金になる
- 保険金の額や遺産全体に占める割合によっては、例外的に計算へ含める扱いとなる場合がある
受取人を指定できる点が、預金にはない生命保険の特徴です。ただし、保険金が遺産に比べて大きすぎると、兄弟間の不公平が問題になる可能性も残ります。
金額の設定や受取人の決め方は、専門家と相談しながら検討してください。
参考:最高裁判所「平成16年10月29日 第二小法廷決定」
参考:国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」

死亡保険金には、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)があります。ただし、これは税金のルールです。
保険金が遺留分の計算に含まれるかどうかは、民法上の取り分のルールで決まります。2つはまったく別の話ですが、混同されやすいので注意しましょう。
保険を検討するときは、「税金を抑えたいのか」「取り分の調整に使いたいのか」を先に整理しておくと、判断しやすくなるはずです。
兄弟との遺留分や実家の分け方で迷ったらPR mediaへ無料相談

「財産の中心が実家で、兄弟でどう分ければよいか分からない」「遺留分を払う現金が足りるか不安」という方に向けて、PR mediaでは無料相談を用意しています。1分のアンケート登録から始められます。
当メディアの調査で、実家の今後に向けて実際に行ったことを尋ねたところ、「特に何もしていない」が約79.3%でした(複数回答)。「親と具体的に話し合った」は約10.3%にとどまり、多くの方がまだ動けていない実態がうかがえます。
(当メディア調査/2026年6月・親が持ち家の人300名)
今の段階で情報を整理しておけば、いざというときの話し合いを進めやすくなります。
相談の概要を表にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相談できること | 実家など不動産の評価・活用・売却・リースバック(売却後も住み続ける方法)・空き家買取、生命保険、生前贈与 |
| 強み | グループとして不動産と生命保険の両面を扱い、分け方と資金の準備を横断して整理できる |
| 相談料 | 無料 |
| 相談の始め方 | 1分のアンケート登録 |
PR mediaを窓口に、実家を兄弟で分けやすい形にする方法や、遺留分に備える資金の準備まで含めて一緒に整理します。
売却や特定の保険商品をすすめる場ではなく、ご家庭の状況に合う選択肢を確認する相談です。遺言の作成や遺留分の請求・交渉は、弁護士や司法書士の業務にあたります。個別の相続税の計算は税理士の領域のため、必要に応じて専門家と連携します。
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遺留分と兄弟に関するよくある質問

最後に、兄弟と遺留分について寄せられやすい疑問に簡潔にお答えします。
まとめ:兄弟の遺留分は立場で変わる、実家の分け方は早めに相談を

兄弟の遺留分は、誰の相続を考えているかで結論が入れ替わります。記事の内容を振り返りながら、次に取り組むことを整理しましょう。
- 亡くなった人の兄弟姉妹には遺留分がなく、代襲相続する甥・姪も同じ扱いになる
- 親の相続では、兄弟それぞれに法定相続分の2分の1の遺留分がある
- 子どものいない夫婦は、遺言で配偶者に財産を残せる
- 親の相続では、遺留分に配慮しないと兄弟間でもめるおそれがある
4点を踏まえると、最初に確かめたいのはご自身の立場です。そのうえで財産の中心が実家の場合は、分け方も資金の準備も難しくなりやすいといえます。
ひとりで抱え込まず、PR mediaの1分アンケートから気軽に相談してみてください。
※本記事の制度に関する情報は2026年10月時点のものです。制度は改正されることがあるため、実際に判断される際は最新の情報をご確認ください。
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